【切迫早産管理入院出産編⑩】陣痛中の呼吸と私の失敗談

切迫早産管理入院体験記

こんにちは、てるこまです。

切迫早産で入院した私が、出産に至るまでの経緯を連載形式で記録しています。

出産の記録はこちらから読めます。

陣痛~分娩までの経過を書いています。リアルな表現描写がありますので、苦手な方はご注意いただくか薄眼でご覧ください。

陣痛・出産時は呼吸が大切

古くは「ヒッヒッフー」と表現されるラマーズ法で知られるように、陣痛・出産時においては、呼吸が重要ということは、なんとなく知っていました。

出産の可能性が高まってきた際にも、予め助産師から呼吸の大切さというのは説かれたほどです。

なんでも、上手に酸素を取り込んで、母体・胎児に充分な酸素供給すること、呼吸をすることで身体を緩めて無駄な体力を消耗しないようにできる…など、呼吸は陣痛〜出産の流れの中でもキーとなっている様子。

助産師さんがは私に教えてくれました。

「とにかく息を吐いていれば大丈夫!」と。

息を吐き続けて苦しくなれば、人は息を吸う。力み過ぎて無呼吸になるのが1番危険である。

そんなわけで、私は息を吐くことを最重要ポイントとして、出産に挑みました。

息を吐け!とにかく吐け!吐けば吸える?

そしていざ本番。

助産師さんのアドバイスやネットで得た呼吸情報により、完全な呼吸耳年増となっていた私ですが、実地はそれはそれはお粗末なものでした。

全然息吸えない。

一生懸命なるべく細く長くフーーーー…って吐いているんだけど、吸えない。

フーとフーの間にヒュッ!って一瞬しか吸えない。

私がフー…ヒュッ!フー…を繰り返している間、身体の両サイドでは血管捜索が急ピッチで執り行われ、もちろんつかまる物もすがる物もなく、焦りの中、顔の輪郭がジンジンビリビリすることに気が付きました。顔面の痺れを認識すると、手も痺れていることに気付きました。

「酸欠?」と思うと同時に、鳴り響くNSTのアラーム。

どうやら私の呼吸が下手なばっかりに、私諸共お腹の息子までも酸欠に陥ってしまったようです。

私の口元には、速やかに酸素マスクが装着されました。

分娩台で弁慶と化す私。そして出産は最終段階へ。

ところで、酸素マスクというのは中々息苦しい物なのです。

口元に立体のマスクを装着しているわけですが、その中で呼気が篭るのか、どうも新鮮な空気を吸えている感じがしません。

酸素を効率よく取り込むための装置に逆に苦しめられている状況が耐え難く、ジェスチャーにてマスクをずらしてもらえないか訴えました。

すぐに分娩室のスタッフさんにより、マスクをずらして貰えたのですが、その位置が気になった…。

私は顎下にずらして貰えると思っていたんですね。

でもどういう訳か、マスクの行き先は顎どころか目の向こう側。

つまり、額へと移動していったのです。

『弁慶。』

私は瞬時に気付いてしまいました。

あの立体的なひし形のような形状のものが額中央に鎮座して、紐で頭にくくりつけられているこの装いは、弁慶なのではないか。

髪を振り乱し、顔を赤くして鬼の形相で陣痛に耐え、額にひし形の立体を括り付けている今の私の様相は、さながら源義経に仕えたという、怪力無双の荒法師「武蔵坊弁慶」のようではあるまいかと。

この時の私の状況を整理すると、掌は握りしめ、両腕をぺちぺち叩かれ縛られ血管を探されながら、定期的に襲ってくる陣痛に耐えつついきみを逃す、額に酸素マスクを縛り付けた分娩台上の女弁慶だった、というわけです。

あまりの情報過多と間断なく襲ってくる痛みに、思わず「助けて!」という言葉が口から出かけました。

しかし言葉が口から飛び出す直前、

「出産は自分が望んだこと、助けてなんて言っている場合じゃない。」

という言葉が頭の中で聞こえたのです。

その言葉で私が冷静さを取り戻すと同時に、点滴針が刺さり薬がようやく流れ始めました。(場所が手首でめっちゃくちゃ痛かった)

「いきんでいいですよー。」

助産師さんから合図がかかり、いよいよ出産もクライマックス。息子と会える瞬間が刻一刻と近づいて参りました。

次回、「母・ひでこに先を越される夫」。

本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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