こんにちは、てるこまです。
切迫早産で入院した私が、出産に至るまでの経緯を連載形式で記録しています。
出産の記録はこちらから読めます。
陣痛真っただ中の内容なため、リアルな表現描写があります。苦手な方は薄眼でご覧ください。
目次
陣痛中の必須アイテム“経産婦”
山本さんが私のベッドから去って10分。ベッドには、陣痛のたびにひでこに腰をさすってもらう四つん這いの私がいました。
痛みが来たら横になってなんかいられないのです。
どの姿勢が楽なのかわからないけれど、身体を動かしたいこの衝動に駆られました。そして衝動のまま、取り敢えず四つん這いになってみたら、すかさずひでこが腰をさすってくれたのです。
さすが。
わかってる、経産婦。痛いは痛いけど、痛みのレベルが下がった気がしました。
これが夫だったら、何して欲しい?とか聞いてきて、私の逆鱗に触れたことでしょう。
そう、陣痛中は息をすることさえ困難で、話しかけられたら殺意すら芽生えます。なんていうかなぁ、会話による空気の振動さえも許せないというか、逆鱗に触れる。
そこをひでこは、『腰さするね』の一言であとは無言で作業に徹してくれたのです。
『腰さすろうか?』ではなく『腰さするね』という言葉のチョイスもさすがの一言。指示を受ける訳でなく、察して腰をさすってくれたひでこグッジョブな訳ですよ。さすったと表現していますが、実際はかなりの力で擦ってくれて、雑巾掛けレベル。
痛みに支配される意識のなか、私はひでこへの感謝と同室の妊婦さんへの申し訳なさを抱いていました。
当時の同室メンバーは、切迫で入院中の妊婦さんお二人(うち一名は明日点滴抜去予定)。
みんなごめん。
点滴取って陣痛きちゃってごめん。
いきなり同室でぜぇはぁしだして、怖いよね!不安になるよね!本当にごめイテテテテテテテt。
しかしスマホには未対応なのが経産婦(母親世代)
当時を思い出して、印象的なのが陣痛アプリの存在です。
煩わしいことこの上ない。
私の陣痛の始まり方が、いきなり刺されたような状況だったからかもしれませんが、いちいとスマホをタップして、陣痛きた・終わったの記録を自分でつけるとか無理!もう絶対できない。
ですから、辛くなってきたら付き添いに頼む方がベターです。
もちろん陣痛中は、アプリの使い方説明をしている余裕はなくなりますので、付き添い予定の方と事前に操作方法を共有しておきましょう。
人に頼んで陣痛を見逃したらどうしようという心配?大丈夫。陣痛来てる時と来てない時と女は別人だから、一目でわかります。
残念ながら当時のひでこはガラケーユーザーで、スマホの操作に関してはからっきし。
定期的にやってくる陣痛にもだえながら、ひでこに説明する手間よりもいちいちスマホをタップする手間を選びました。
再び山ちゃん登場。ついに病室を飛び出します
痛みに支配されていたからでしょうか。アプリをタップするのに必死で間隔を見てなかったら、いつの間にから2分台になっていました。
慌てて山ちゃんを呼ぶと、
診察室に行きましょう。
って。
思わず聞き返しました。歩いてですか?って。
診察室は、私のいる病室から約30メートル。
どんどん間隔が狭まる陣痛の合間を縫って、普段ですら大きいお腹を抱えてえっちらおっちら歩いていたあの道のりを、間隔が狭まる陣痛の合間を縫って、一回角曲がって、しかも速やかに移動したくださいですって?!
さらに診察ってことは、ズボンとパンツ脱いで内診椅子に登れと…
心の中の弱い自分のタンカー( ;∀;)クルマイスー( ;∀;)という叫びを飲み込みながら、ベッドから降りて一生懸命移動を開始しました。
矢継ぎ早に襲ってくる陣痛に耐えながら歩く。歩く!歩く!!!
ていうか、止まって耐えようとすると山ちゃんが背中を押してくるんですよ。
無言で歩けって指示出してくるんですよ、山Pが。
陣痛の痛みを逃すには最も向かない場所。それが内診椅子だ!
山Pによる歩行訓練を受けながらなんとか診察室に辿り着いた私は、いざ内診椅子に座ろうとして愕然としました。
内診椅子ってこんなに高かったっけ?
これまで何度となく座ってきた内診椅子はもはや難攻不落の雪山…なんだけど、精一杯の力を振り絞ってよじ登る。
こういう時、心の中ではいろいろ思っていても、口には出さずに取り敢えず指示に従うところ、自分は日本人なんだなぁとしみじみ思いました。陣痛起こしながら。
そして、なんとかやっと、内診台に座って気づきました。
超辛い。
この時期って仰向けになるだけでも、きついじゃないですか。そのうえさらに陣痛ですよ。
落下が怖いし危険だしで、痛みから逃れようと身体を捻るなんて出来ません。そして脚を開くとどこに力を入れていいのかわからない。
ぜぇはぁしながら、大きくなったお腹からの圧と陣痛のWパンチに必死に耐えていると(既に瀕死)、先生から衝撃の一言が。
てるこまさん、陣発したら分娩室直行指示だったでしょ。もう2分間隔だし。
分娩室誘導してー。
あ、じゃあ。てるこまさんおりましょうかーーー。
先生、触れるどころかこっちを見ることすらしませんでしたけど。あと、さりげなくはじめましてなんですけど。入院して2ヶ月、はじめましての先生がいるなんて…
分娩室に誘導ってさ。
今、必死になって登った内診椅子からまた降りて、パンツ履いてズボンを履くということですか?!そうなんですか?!
心が折れそうになっていると、喝を入れるがごとくやってくる陣痛。
そうだわ、本番はこれからだと思い出しつつも、本番においてまったく戦略にならないパンツとズボンを今再び履かなくてはならないという事実。
さっきあんなに必死に脱いだパンツをまた履かなきゃならないのか?!すぐ脱ぐのに。
内診椅子のふもとでうずくまっている私の足に一生懸命パンツを通そうとしてくれている山P。(右足あげて、今度は左足あげて、腰うかせてーーー。)
山Pの頑張りと励ましの甲斐あって、なんとかパンツを履くことができました。パンツを履くという行為がこんなに複雑で大変なことだなんて思いませんでした。
だがそこまでにしようか。ズボンはやめておこう。ズボンを履くことは今の私には不可能だ。
私は立ち上がって言いました。
もうこのまま行かせてください…
パサッ…
どこから出したのか、山Pがバスタオルで私の胸から下を包みこみました。
次回、いよいよ分娩台へ!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント